モルモンの福千年、これが楽園か?

現代のモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)は、社会的評価やカルトと呼ばれることを避けるため、お行儀の良い「一般的なキリスト教風」の顔を見せています。しかし、彼らが本気で信じている「世の終わり」を見てみると、それは常識では到底考えられない、オカルト、カルトの「トンデモ世界」なのです。

今回は、教会が隠したがる「ハルマゲドン」「福千年」、そして本当のラストに待ち受ける狂気のシナリオを検証します。あなたは笑うか、呆れるか・・・。

① ハルマゲドンと主の再臨:非信者を焼き尽くす恐怖政治の幕開け

「モルモンのハルマゲドン」で述べたとおり、モルモンの終末は全人類に対する凄惨な「選別」と「虐殺」から始まります。イエス・キリストは殺戮者です。

地上のすべての邪悪なもの、つまり彼らの教義に従わなかった「不義な人々」は一瞬で燃え尽くされるとされています。この地球規模の大虐殺の後、地球は「楽園の状態」となります。サタンは1000年封じ込められ、悪のない善だけの世界が訪れます。

さて、楽園です。平和のなか心も安らぐといいたいところですが、モルモンの楽園は超多忙です。この1000年の間に、福音(モルモンの教え)を聞かなかった過去の人たちのために、死者のための儀式を猛然とこなしてゆかねばなりません。福千年前にはモルモン教会の外部組織で株式ファンドを運用し何億ドルもの利益を出していたやり手ファンドマネージャーも、いまは系図と死者の贖いの不慣れな仕事です。モルモン教会が大株主だったコカコーラ社もニュースキンも今はありません。バーガーキングのクーポンもヤマダデンキの来店ポイントも無効です。悔しがってはいけません。今や楽園なのですから。

福千年閉店でがっかり
福千年閉店でがっかり

② 「選ばれしエリート」モルモンの「義人」

このハルマゲドンを生き延びた人々は文句なしの「義人」です。そして、過去に亡くられていた「義人」たちが次々と復活して来ます。「福千年の朝の復活」と昔は教えられました。そこで復活してくる面々は私たちが想像する偉人、人格者たちではありません。彼らはモルモンではないので後回しです。まずはモルモンの偉人たちです。ジョセフ・スミスとかブリガム・ヤングとかは真っ先にたくさんの妻を連れて復活してくるでしょう。

復活は「モルモン教の定義による義人」順です。(こういうランク付けもおかしいと私は思う)。『教会への忠誠を誓い、収入の10%をせっせと献金(什分の一)し、ガーメント(モルモンの下着)を身につけ、神殿の儀式を受けた者』は優先的に復活します。このとき、復活したモルモン信者は「耐え忍んで良かった」と思うのでしょう。

③ 滑稽すぎる「復活の順番」

復活の順番を知ればモルモンのゆがんだ選民思想が見えて来ます。なかなか外連味のない格付けです。

復活のランク 対象となる人々 福千年における扱い
第1の復活・前段
(日の栄えの復活)
キリスト以前の義人、およびモルモン教の熱心な最高ランクの信者。 キリストの再臨と同時に墓から出てきて、真っ先に福千年の統治階級・教師となる。
第1の復活・後段
(月の栄えの復活)
モルモン教徒ではないが、地上でそれなりに善良に生きた人々。 福千年の期間中に順次復活させられるが、神殿儀式を受け入れるよう「教育(洗脳)」の対象となる.
第2の復活
(星の栄えの復活)
殺人者、嘘つき、あるいは「モルモン教の真理を拒んだ」不義な人々。 1,000年間、墓の中で放置。 福千年が完全に終わるまで復活の権利すら与えられない最底辺の扱い。

まるでテーマパークの優先入場パス(ファストパス)ですね。信仰の度合い(というより教団への忠誠度)で復活の順番を並べるセンスには、宗教的崇高さなど微塵もありません。世界の歴史に名を残す偉人も後回しです。

④ 「善悪二元論」のナンセンス・悪が必要な「救いの計画」

ハルマゲドン以降で顕著になるのは、「善か悪か」「味方か敵か」「モルモンか否か」という「善悪二元論」です。しかし、このような神話の世界の二元論が現代において通用するはずもありません。申し訳ないですが、モルモン教徒より偉大な人物は無数にいます。例えば、もし私が超熱心なモルモンであっても、マザー・テレサや中村哲医師より先に復活するなんて恐れ多くてできません。

もっと言えば、モルモンの教義を超えて、「善悪二元論」は最初から「自己破綻」しています。モルモン教の語る「救いの計画」は、天上でのサタン(ルシファー)の裏切りや、イスカリオテのユダの密告という『悪』が存在しなければ、1ミリも前に進まない構造になっているからです。ルシファーが反逆して、地上に落ちてくれないと、「救いの計画」は始まらず、サタンと手下が人類を誘惑しなければ現世に試しはなく、ユダがイエスを裏切らなければ、イエスは十字架にかけられず、人類の贖罪は完成しませんでした。つまり、神の完璧な計画を成立させるための「最大の功労者」は、神が憎むはずの悪役たちなのです。悪を排除しようとする教義が、その成立のために悪に100%依存しているというこのマヌケなパラドックスに、彼らはそれを考えようともせずに教えを説いているのです。(キリスト教の偉い神学者とかは回答をもっているのでしょうが、ここではそこまで踏み込みません。)

そもそも、人間の「悪」や「誘惑」が完全に消え去った世界など、まともな思考力があれば空想すら不可能です。人間の不完全さや葛藤があるからこそ、私たちは思考し、成長し、深みのある文化を生み出してきました。「悪も誘惑もない、ただただ平和で素晴らしい世界」などという薄っぺらい桃源郷にうっとりして疑問を持たない信者たちは、単にインテリジェンス(知性)が欠如しているかわいそうな人なのです。

⑤ 福千年の正体:それはサタン(ルシファー)が提案した計画ではないか?

天上の会議から検証を進めてくると、ここでモルモン教義最大級の矛盾に気づきます。前世においてルシファーが「全人類の選択の自由を奪い、一人の脱落者も出さずに全員を強制的に救う」という計画を提案し、神に却下されたルシファーの計画。この「福千年」の姿こそはルシファーの提案した世界ではないですか?サタンは縛られ、悪の選択肢は消され、復活した聖人たちの監視下で「完全な真理」だけを教え込まれる――。これこそ、「選択の自由のない、強制的な救いの計画」そのものです。神の救いの計画は累々たる脱落者を生んだ無駄でした。

⑥ 傲慢の極み:世の偉人たちがモルモンになると本気で思っている

福千年の学校では、アインシュタインやピカソ、モーツァルトといった歴史上の偉人たちも復活し、共に学び、芸術に励むと美化されています。しかし教会の本音は違います。

彼らの教義によれば、これらの偉人たちも復活した後は「モルモン教の神殿儀式」を身代わりに受けてもらい、最終的にはモルモン教の教えを受け入れて教会員(信者)にならなければ救われないことになっています。ソクラテスも、ブッダもシェイクスピアもマザー・テレサも道元も中村哲も、あの世ではジョセフ・スミスという「預言者」が始めた新興宗教に入信するというのです。そんなことを信じているのは大変な傲慢です。いや「アホ」でしょう。

⑦ 最大の欺瞞:封印された禁断の律法「多妻結婚」の完全復活

現代の教会は「一夫多妻は過去のもの」と必死に否定しますが、それはそのとおりでしょう。ただ、人間の法律が終わる福千には、神の律法として神聖な「多妻結婚」は再開されます。

十二使徒ブルース・R・マッコンキー長老は著書『モルモンの教義』で「キリスト再臨と福千年の後に再び開始される」と明記しています。現在でも「妻に先立たれた男性は、最初の結び固めを消さずに次の妻とも神殿で『永遠の結び固め』ができる」というルールが生きています。つまり、彼らの教義上、福千年や死後の世界では、複数の女性を所有する「一夫多妻のハーレム」が神の高等律法として大手を振って再開されるのです。女性の尊厳を無視した初期カルトの男尊女卑思想が、福千年という隠れ蓑を使って復活するシステムが今なお裏で維持されています。

⑧ 本当の最後の戦い:1,000年の教育は何?サタンの解放

福千年は終わり、さらなる楽園・・・。とは行かないのがモルモン教です。1,000年が経過して何故かサタンが「少しの間」解放されます。ずっと復活できなかった悪人連中もわんさか復活して来ます。その途端、多くの人はあっさりとサタンの誘惑に落ち、神に反旗を翻します。これが本当の最終戦争(ゴグとマゴグの戦い)です。

まあ、このあたりはヨハネ黙示録の解釈の問題、つまり誤読なのですが、こうして全ては終わります。後は裁きを待つだけです。

結論:三つの栄えとそれ以外

最後の戦いが終わると、地球は一度死に、復活して「日の栄えの王国」へと姿を変えます。モルモンの教義によれば、地球は完全に結晶化し、透明なガラスか水晶のような、巨大な「光る神聖な石(ウリムとトンミム)」になるとされています。日の栄えの内、最上のものは「昇栄」です。そうです、男性は神となり、その妻たちは神の妻(天の母)たちとなります。

「月の栄え」「星の栄え」へも個々の行いに応じて振り分けられますが、サタンやイスカリオテのユダ、モルモンを破門された連中などはもっと別の世界に送られます。サタンやユダは救いの計画の功労者ですから、きっと素晴らしい世界に行かれるに違いありませんね。

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