【添削指導】アルマ書・ラモーナイ王の改宗シーン
『モルモン書』のアルマ書に登場する、熱いアクションと劇的な奇跡(?)が詰まった「ラモーナイ王の改宗エピソード」。今回はジョセフ君が書いてきてくれたあらすじ作文に対して、赤ペン先生が歴史的リアリティと物語の整合性の観点から、愛のある(?)熱い添削をしてくれました。
課題:ラモーナイ王とアンモンの物語(アルマ書17〜19章)
【第1幕:羊飼いバトル編】
ジョセフ君の作文:
モーサヤ王の息子のアンモンは、レーマン人の国に仕えるふりをしてラモーナイ王の羊飼いになりました。ある日、悪いレーマン人が王の羊を散らしにやってきました。他の召使いたちは「羊を失ったらあの残酷なラモーナイ王に処刑される!」と泣き叫びましたが、アンモンはチャンスだと思って喜びました。アンモンは石を投げて敵を倒し、こん棒を振り回して向かってくる敵の腕を剣で次々と切り落としました。
🛑 赤ペン先生の添削:
- 「仕えるふり」…王子様なのに潜入の仕方が真っ当すぎませんか? 仮にも他国の王子ですよね。ばれるのではないかと先生は思います。スパイ活動としては少し脇が甘いです。
- 「羊」…当時のアメリカ大陸にいわゆる『羊』はいませんでした。理科や歴史で習っていませんか?モルモン擁護の「偉い」研究者が言うように『シカ』だったとしたら、驚いて一瞬で山に逃げるので泥棒も連れていけませんよ。犬はいましたから、いっそここは『犬の群れ』にして「ケンネル・ラモーナイ」というバイオレンス犬舎、愛犬とのふれあい物語に書き換えますか?
- 「腕を切り落とした」…戦闘シーンが残酷すぎます!そもそも、昔のクロサワとミフネの日本映画でもこんな立ち回りシーンはあり得ません。現実的にこちらも棍棒で応戦し、気絶させて生け捕りにし、王に突き出すのがリアルですよ。
- 【最大の組織的矛盾】…部下をすぐ処刑する冷酷なラモーナイ王ですが、なぜ何度も財産を狙ってくる国内の身内のテロリスト集団をずっと放置しているのですか? 身内に厳しく外敵に甘いブラック企業の無能上司のようです。治安維持の仕事をするよう、王にアドバイスしてあげてください。
【第2幕:腕の山と馬車編】
ジョセフ君の作文:
召使いたちは、アンモンが切り落とした大量の敵の腕をかき集めて、証拠として王様の前に積み上げました。王様は「アンモンは偉大な霊(大霊)に違いない」とガタガタ震えて、1時間もフリーズしました。そのころアンモンは、王様に報告もせず、裏庭でせっせと馬と馬車の準備をしていました。部屋に戻ってきたアンモンが「お車のご用意ができました」と言うと、王様はびっくりして、アンモンの大説教を聞いて床に気絶し倒れました。
🛑 赤ペン先生の添削:
- 「腕の山を差し出す」…絵面がスプラッター映画です。王宮の衛生管理や召使いたちの精神状態はどうなっているのですか。それこそ、王様の怒りを買いますよ!
- 「馬と馬車」…羊に続いて、当時のアメリカに馬がいないのは常識ですよ。馬車のような乗り物(車輪技術)というのも試験に出ますよ。しっかり書いてください!先生もうお腹がいっぱいです。
- 「大霊(Great Spirit)」…旧約聖書では異教の神(バールやアシュタロテなど)が登場しそれらを全否定していました。アメリカらしくネイティブアメリカンの精霊信仰が出てきたのは面白いですが、万物精霊のピュアな信仰を大霊などにひとまとめにして、一神教へすり替える。19世紀の北米白人の間で流行っていたフレーズをそのまま使ったのがバレバレです。ちょっと、教養が疑われてしまいますよ。描き直しましょう。ましてやアンモンが妥協するのはなぜですか? 一貫性を持ちましょう。
- 「馬の世話をしていた」…命がけのバトルの報告をせず、血まみれのまま裏庭へ直行して洗車(馬車の準備)を始めるアンモンのマイペースぶりは、王様に対してあまりにも非礼です。社会人のホウレンソウ(報告・連絡・相談)を身につけさせてください。説教されるよりよっぽど不気味で怖いですよ。
【第3幕:怒涛の全員気絶編】
ジョセフ君の作文:
王様は2日2晩死んだように眠り、みんなが埋葬しようとしましたが、3日目に起きて「キリストを見た!」と言ってまた気絶しました。すると奥さんも気絶し、アンモンも気絶し、部屋にいた部下たちも全員バタバタと床に倒れて気絶しました。誰もいなくなった部屋に、前から神様のお告げを受けていた家政婦のアビシさんが大喜びで街の人々を呼びにいき、部屋の中は大騒動になりました。そこに前にアンモンに腕を切られた泥棒の弟が現れ、気絶したアンモンを刺そうとしました。ところがここで奇跡が起きます。その悪党は神様の不思議な力で命を失うのです。
🛑 赤ペン先生の添削:
- 【心理描写が薄っぺらい!】…ここが一番ダメです!どんな言葉にどう感動したかという肝心な内面が全くありません!ここをきちんと描写しなければ〇はあげられませんよ! なんでもかんでも失神すれば「霊性を表現」できるわけではありません。文章の手抜きです。
- 「全員気絶」…言葉も交わさず、部屋にいる人間がピタゴラスイッチのように連鎖してバタバタと床に転がっている絵面は、おごそかな改宗シーンというより、完全に集団食中毒の現場です。吉本新喜劇でも「ごめんくさい!」などのきっかけがありますよ!たまには日曜の教会をサボって吉本新喜劇を観るのも勉強です。
- 「街の人々を呼びにいく」…この国の王宮には近衛兵や親衛隊はいないのですか?王と王妃がぶっ倒れている重大事なのに、なぜ駆けつけてこないのですか? 家政婦が野次馬を王の寝室に勝手に入れるなど、冷酷な王の王宮では考えられないでしょう?
- 伏線をしっかりと…突然出てきたアビシという家政婦に「前から神からお告げを受けていた」などと説明を付けられても、読者は「え? そうなの聞いてたっけ?」と混乱します。時には怒ってしまいます。こういう重要な登場人物はきちんと前の章で描写しておくべきです。読者に「なるほど!」と思わせるように、伏線を張り巡らせてください。
- 【超危険!】…集まった野次馬の中に「腕を斬られた泥棒の弟」が混ざっていて、気絶したアンモンを刺そうとしています。王宮のすぐ枕元にまでテロリストの身内が剣を持ってフリーパスで侵入できる国なんてありえないでしょう。王宮に入る前にボディチェックで武器は取り上げられますよ。
吉本新喜劇風ラモーナイ王気絶譚
🛑 赤ペン先生の総評:
歴史的な事実(羊、牧畜、馬、車輪の不在)を無視し、聖書的な一貫性もすっ飛ばし、最後は吉本新喜劇以下の集団気絶コントでオチを付けようというのはいただけません。でも、ジョセフ君、あなたにはこんな作文を人に読ませて、「素晴らしい、神の言葉」だと思わせる、とんでもない才能があることを先生は素直に驚きます。物語としては「もう一度最初から書き直しなさい!」と言わざるを得ませんが、ジョセフ君はその人を引きつける才能を今後は良い方に使って、立派な大人になってほしいと先生は思いました。